5G・Wi-Fi6比較と利用ケース|認証サービスが大切になる
5Gという言葉が、当たり前に使われるようになりました。また、ローカルネットワークを構成するためのWi-Fiの次の規格であるWi-Fi6 も5Gと比較される形で、よく聞く言葉になってきました。今回はそんな(ローカル)5GとWi-Fi6について、比較と利用が予想されるケースについてまとめています。
5Gとは

「G」の意味するものは、「Generation(世代)」ですが、定義については厳密さがない状態です。
2020年現在では、4Gが当たり前の時代になっています。4Gは、ITU-T(国際通信連合の電気通信標準化部門)によると、スマホなどのデバイスが移動している時の最大データ伝送速度は100Mbpsで、移動しない場合は、最大1Gbpsの伝送速度を実現することが目標となっています。
実際は、43Mbps、10Mbps、7Mbpsといったデータ伝送速度になるのが現実です。家でのインターネットでも、大体30%のパフォーマンスも出れば、御の字。
4Gは、利用するデバイスが同一エリアに100台近くあると、データ伝送速度が遅くなる可能性があります。
4Gと5Gの違い
4Gと5Gの違いは伝送速度、低遅延、同時に多くのデバイスが接続されてもパフォーマンスが出るといったところです。
ITU-Tがうたっている5Gのデータ伝送速度の目標は、
下り(基地局からユーザー端末へのデータ伝送)の速度が20Gbps 一般的には下りの速度のほうが大事です。動画を見たり、大きめのコンテンツをダウンロードする時に関係してきます。
上り(ユーザー端末から基地へのデータ伝送)は10Gbps となっています。
低遅延で通信できるので、伝送容量プラス品質も増します。動画などストリーミングサービスの品質も上がります。VR、ARなどのコンテンツもストレスなしで利用可能になります。
セル(一つの基地局がカバーする区画)での同時接続デバイス数は、4Gと比べ、10~1000倍になります。
2020年現在では、使えるエリアが限られていますが、3Gから4Gになったとき同様に、次第に広がっていくはずです。
5Gは4Gと同様に、従量制のサービスとして提供されますので、利用料金については注意が必要です。
続いて、docomoなどのプロバイダーが提供する5Gではなく、自営するネットワークであるローカル5Gにも触れておきます。
ローカル5G
ローカル5Gとは、5Gネットワークを自分たちで運営することです。
技術的には5Gと同じです。免許を取って自分専用の5Gネットワークを構築することができるようになっています。
2020年時点では、所有する土地や建物での利用に限定されてしまいます。地域で周波数の割り当てを受けるので、物凄いお金があるからと言って無制限に、どこでも構築できるわけではありません。
Wi-Fi6
Wi-Fi6 について概要をまとめます。
Wi-Fi6 とあるので、Wi-Fi5 もあります。それまでは最大3.5Gbpsの伝送スピードでしたが、Wi-Fi6 では最大9.6Gbpsと劇的に改善しています。
実は、今まではアクセスポイントとスマホ、PCなどの通信は1台ずつ行っていました。(体感ではそこまでわかるものではありません)
それを、多数でも通信可能になりました。(OFDMA)
5Gの改善点と同じように、複数デバイスが同じエリアにいても、パフォーマンスが落ちないということです。
ここからは、ローカル5GとWi-Fi6の比較をしてみます。
ローカル5G と Wi-Fi6 比較
規格 | ローカル5G | Wi-Fi6 |
---|---|---|
最大速度 | 10-20Gbps | 9.6Gbps |
安定性 | 高い | 低い(他のWi-Fiより高い) |
電波 範囲 | 広い | 狭い |
費用 | 高い | 低い(他のWi-Fiより高い) |
その他 | 対応SIMが必要 | 対応機器(NIC)が必要 |
5Gは、プロバイダーが使う技術なので、費用は高くなります。対応ネットワーク機器も高いですが、速度面と、一つの基地局での電波範囲は広くなります。
対してWi-Fi6 は、比較的安価で構築できるのはいい点と、カフェなどフリーでネットワークを提供しているところでは親和性が高くなりそうです。
つなぎ方から考える
①Wi-Fi6でインターネットにつなぐ
スマホ・PC ⇒ AP ⇒ 回線サービス(NTTなど) ⇒ インターネット
カフェ、スタジアムなどを想定
②ローカル5Gでインターネットをつなぐ
スマホ・PC ⇒ 自前基地局 ⇒ 回線サービス(NTTなど) ⇒ インターネット
スタジアム、商業施設などを想定
仕事、企業での利用シーンも考えてみましょう
③Wi-Fi6会社のネットワークにつなぐ
スマホ・PC ⇒ AP ⇒ 専用線サービスなど ⇒ 会社システム、インターネット
④ローカル5Gで会社のネットワークにつなぐ
スマホ・PC ⇒ 自前基地局 ⇒ 専用線サービスなど ⇒ 会社システム、インターネット
回線サービス、専用線についてですが、5GやWi-Fi6より、回線が遅い場合がほとんどだと思います。ネットワークは遅いほうに性能が引っ張られるので、設備を変えないといけません。環境を万全に整えたい組織、会社は結局、まあまあのコストが発生します。
ですので、直接、5Gで接続したほうが安いケースのほうが多くなると予想します。大企業であれば、社員を絞って5G対応端末を配り、テザリングも使いインターネットにつないだほうがいいです。
また、会社へのシステムへのアクセスですが、クラウドサービス(SaaS)の利用が増加しているので、わざわざ専用線を通らずに直接インターネットにつなぐほうが効率的です。そこで問題になるのが、セキュリティです。
セキュリティ・認証
SDPという考え方、仕組みがあり、認証したユーザーだけ、そのシステムにVPNなどでセキュアり接続できようになります。
おそらく、今後はやるのが、上記のクラウド認証ではないかと思います。
ということを踏まえて、ユースケースを考えてみましょう。
ユースケース
5Gは使うまでにコストがかかるので、広い土地、資金のあるところで使用することが想定されます。
スタジアム、自動運転、自動車、ドローンなどがそれにあたります。
Wi-Fi6 ではオフィス、カフェ、スタジアム、工場等IoT、その他フリーWi-Fi 提供場所が想定されます
まとめ
どちらにしても、ルーターがインターネットにつなぐために、回線(NTT)とかdocomoなどのプロバイダーに接続しなければいけません。どんなに、そのエリアが早くても、ルーターの先が遅ければ、遅いほうにパフォーマンスは引っ張られますので、導入の際は、最終的にパフォーマンスが出ているのかを再度確認する必要があります。
クラウドサービスが当たり前の現在なので、直接5G対応のスマホまたはスマホを使ったテザリング経由でインターネットに接続したほうが効率がいいケースが多くなりそうです。
おまけの情報としては、5Gに関しては、民主党政権下でのコストカットの影響で日本企業が特許をとれていない状態なので、今後は6Gに投資していくようです。
ネットワーク機器を販売している会社は、Wi-Fi6 をごり押ししてくる場合があると思いますが、本当に今必要なのか、具体的な利用シーンを想像してから導入しましょう!
天下のネットワークベンダーであるシスコシステムズ合同会社の方の資料を紹介します。(ポジショントークなところはありますが。。)
参照URL: https://www.janog.gr.jp/meeting/janog44/application/files/4815/6352/1493/JANOG44_WiFi6-5G_PDF.pdf